【ロング記事】介護離職すると大変になる再就職。介護を終えたあとの人生設計が厳しくなる

【ロング記事】介護離職すると大変になる再就職。介護を終えたあとの人生設計が厳しくなる

親の介護に直面した時、こうむるであろうリスクの一つが介護離職。親を介護するためにそれまで勤めていた会社を退職せねばならなくなり、収入が途絶えてしまい経済的に大きな不利益を受けてしまうわけです。

しかし介護離職によって受ける不利益は端的な収入ダウンだけではなく、それ以外にもさまざまあります。その一つが再就職の難しさです。

親の介護は何十年と続くわけではなく、いずれ終わるときがくるでしょう。その時、再び仕事に戻るという決断もせねばなりませんが、その際、様々な壁にぶつかることになるのです。

介護離職後の再就職の難しさ

介護離職後の再就職に向けて

親の介護に直面する時期は人により異なります。親が90代で要介護状態になったら、その頃子供は既に定年退職して65歳以上になっていることも多いでしょう。その場合、老々介護の問題には直面しますが、介護離職の問題には直面せずには済みます。

しかし親の心身状態がいつどうなるかは、正確に予測することはできません。子供が40代、あるいは30代の時期に親が倒れ、介護が必要になる場合もあります。

もし子供がその年代で介護離職した場合、「その後の人生はずっと親の介護」というわけにはいきません。「生命医保険文化センター」(2015年)の調査では、介護の平均期間は4年9か月。要介護状態となった親が亡くなったあと、やはり再就職を考える必要が出てくるでしょう。

介護離職後に正社員として働ける?

ところがこの介護離職者の再就職ですが、現状では上手くいかない事例も多いようです。そのことを端的に示すデータが、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が行った「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」(2012年)に出ています。この調査は、40代~50代の介護を理由に離職した男女1,000人を対象に行われたもので、介護離職の実態を知る上で貴重な情報を与えてくれます。

それによると、介護離職後に再び正社員として働けている人は49.8%。だいたい半数ほど。パート・アルバイトとして働いている人が10.2%。そして全く仕事をしていないという人が24.5%を占めています。

また傾向として、それまで勤めていた会社で培った職務経験あるいは年齢にもよりますが、仕事から離れていた期間が長いほど、再就職が難しくなる部分もあるようです。再就職までの期間が「1年以上」なのは、男性だと38.5%、女性だと52.2%に達しています。

平均介護期間が4年9か月と先ほど挙げましたが、それだけの期間仕事を何もしていないとなると、やはり雇用する企業側としては「即戦力として使えるか」、「最新の業界動向についてこれるか」という点で、少なからず不安を覚えるかもしれません。

再就職に向けての準備が難しい

介護がいつ終わるのかも予測できない

「在宅介護はいつまで続くのか分からない」と言いますが、実際のところ、介護が終わるというのは要するに親が亡くなるとき。しかしその時期がいつなのかというのは、親本人にだって分からないでしょう。

そうなると、再就職に向けて資格を取りたい、あるいは再就職に向けて情報収集を開始したいと考えたいところですが、介護を終える時期がいつ頃になるのか正確な予測ができないので、その準備を上手く進められない部分があるわけです。

この点は、普通に退職して再就職を目指す場合に比べて、介護離職者の大きな不利な点と言えるでしょう。

再就職の準備を全くしていないときに急に親が亡くなる場合もあります。介護離職者は収入が途絶えますが、その場合、要介護状態の親がもらっている年金収入が大きな経済的基盤となります。親が亡くなることでその収入源が無くなり、かつ再就職の準備もしていないとなると、残された子どもは非常に困ってしまうわけです。

再就職活動をするにあたって仕事内容も変えざるを得ない

もし介護離職前に勤めていた企業が属する業界と同じ業界に再就職できれば、それは非常にありがたいこと。例えば出版業界に勤めていた人が再び同じ業界の企業に再就職できれば、それまで培ったスキル、経験を直に活かすこともできるでしょう。

しかし介護離職者の場合、先ほど挙げたように「ブランク期間」が長くなるということもあり、なかなか希望通りの企業に就職できない現実もあります。経済的基盤を確保するために「正社員になること」を優先するならば、業界や職種にこだわらずに仕事口を探すということも必要になるかもしれません。

通常の退職からの再就職、すなわち「転職」であれば、キャリアのステップアップにつなげるという形も作りやすいですが、介護離職の場合は基本的にそのような形が取りにくいと言えるでしょう。

結果として、急いで再就職したは良いものの、それまで経験したことのない仕事に追われたり、「やっぱりこの仕事に向いていない」と感じてすぐ辞めてしまったりということも起こりやすくなりま

介護離職するかどうかは、自分の人生設計を踏まえて決断を

「親のため」だけではなく、自分の人生を大事にする

親が倒れて介護が必要になった場合、親孝行な子どもほど、親の介護を最優先にしがちです。また若い頃に親に苦労を掛けた子どもの場合、親への「恩返し」の意味も込めて、介護離職してでも親の介護をしたいと考える傾向もあるようです。

しかし介護離職した場合、自分の人生設計が大きく狂うということもやはり知っておくべきでしょう。

子どもの側が自分の人生を犠牲にして介護するのではなく、自分自身の人生のこと、老後・年金のことを踏まえ、自分の生活と、要介護状態の親の生活の両方がきちんと成り立つ方法を模索するのがベストだと言えます。

子どもは親の世話を自分ですべき?

「子どもなんだから、親の介護負担をするのは当然」という価値観を持つ人も多いでしょう。昭和以前の時代は、国の制度上も高齢者介護に対する認識は浅く、家族がやらなければ仕方がないという側面もありました。

しかし今はかつてとは時代、制度が大きく変わっています。介護保険制度の要介護認定を申請し、担当のケアマネジャーに「介護と仕事の両立をしたい」との旨を伝えれば、そのための合理的、最適な介護保険サービスの利用法・ケアプランを助言してくれます。

またもし両立が手に負えなくなったら、老人ホームへの入居という道もあります。現在の老人ホームは、かつてのような暗いイメージの場所ではなく、若くて元気な職員さんがたくさんいて、高齢者が明るく過ごせる場所となっています。

特養はなかなか入りにくい面もありますが、有料老人ホームであれば即入居できる施設も多いです。有料老人ホームは費用こそやや高めですが、子どもが働きながら収入の一部を入居費用に回せば、入居できる施設はきっとみつかるはず。

まとめ

介護離職すると様々な不利益がありますが、その一つが再就職の難しさ。親の介護期間を終えて再就職するとき、介護期間というブランクもある分、なかなか仕事先が見つかりにくくなります。何とか再就職できても、それまで培ってきたキャリアを放棄せざるを得ないことも多く、満足のいかない仕事に就かざるを得なくもなってくるでしょう。

介護離職する前に、自分の人生を守るということも大事。介護保険サービスを活用する、老人ホームへの入居を検討するなどいろいろな手段もあります。

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